REPORT・BLOG
🌟〈ことのはなプロジェクト〉公演振り返り⑵
天地をつなぐさすらいの
ハヤサスラ
~地水火風の旅~
〈ことのはなプロジェクト〉初公演から1週間、振り返るとともに、いただいた感想をまとめました。
◉自身の振り返りー「本当の自分」とは?
〈ことのはなプロジェクト〉のテーマは「本当の自分に出会うこと」。
ですが、そもそも「自分」そのものが、まるで玉ねぎの皮のように、どこまで剥いたら、本物が出てくるのかわからない・・と思えることがあります。
私もオイリュトミーの稽古と並行し、ホールの床の雑巾掛けや、衣装のメンテナンス、炊事洗濯を毎日やってました。💦
練習だけやっていたい・・と思う気持ちも当然ありますが、生活そのものを支える家事、労働も私の大事な一部、、、
シルクの衣装をつけて、美しい世界に浸るだけではなく、食べること、眠ること、働くこと・・人と会話すること。
物質を基盤にした、地の世界で生きるために、これらを無視することはできません。
だから地に足がついた、農的な暮らしを、芸術と同じくらいに大事にし、
畑や草花を育て、大地に触れることを本当に大切にしています。
でも、日常だけにすっかり埋没してしまうと、大切な何かを見失ってしまう。
大きな世界との呼応を忘れてしまうと、自分の本来の目的が見えなくなってしまうのではないでしょうか。
◉大宇宙とは、内なる精神世界
大宇宙とは、内なる精神世界=霊界であり、そこは、「目標」「意図」の王国だと、シュタイナーは語っています。
いわば、羅針盤のようなもの。
目標や意図がわからないまま、闇雲に行動するのではなく、
朧げでもわかったほうが、「正しい本来の道」を目指して進んで行けるのではないでしょうか。
◉ TAO とは、大いなる世界と自分をつなぐ「道」
今回TAOの響きを体験していただきましたが、
TAO とは『大いなる世界と自分をつなぐ「道」』のことなのです。
大宇宙と 小宇宙の「わたし」
天と地の間にある「人間」
橋渡しする「通路」としての
‘オイリュトミー’
自分自身が何なのか・・
それを思い起こすために、大いなる世界との確かな通路をつくることが大切であり、
そのためには中心の「心を動かす」ことが必要です。
だから「芸術創造」が人間にとって欠かせないものなのでしょう。
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〈第二部 公演〉
天地をつなぐ さすらいのハヤサスラ
~地水火風の旅~
◉ 書と響きのコラボ
第二部は、安齋裕司さんによる書「風」「火」「水」「地」が、場面ごとに壁面に大きく映し出され、 これから起こる世界像を、文字の形象が直感的に予感させてくれるのでした。
そして、各場面ごとに、TAOのメロディーが箏の音で奏でられ、四大世界が次々に展開するたびに、調性も変容してゆくのです。
そして最後の「土」では、音楽に続き、言葉のオイリュトミーで締めくくられました。
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◉音と映像のコラボ
◎「水」の即興演奏では、海の哺乳類の王者「鯨」のイメージ映像が、水の波紋とともに映し出されました。◎「地」=「土」では、
都会の夜景の映像が浮き上がる中、「土」の音楽オイリュトミーを舞わせていただきました。今回初めて取り組んだ「土」は、テンポも早く、いろんな場面展開が次々に起こる魅力的な作品で、私にとっても新たなチャレンジとなった作品です。「土」一曲の中には、多くのイメージが繰り返し展開されています。ちょうど、旧約聖書「創世記」において、地球紀の初めに、これまでの宇宙進化を全て繰り返され、新たな「地」=「土」元素が加わったように。それは、このような場面展開でした。
・都会に生きる、孤独と突き刺さる痛みを思わせる場面、
・日々のルーティンを思わせる場面、
・無意識の中に溶け込む「月」の場面、
・打音が連続する「木」をイメージした場面、
・そして悲しみから歓喜へと変容する「火」、
・「閉じ込められた水」から「自由な大海へ」と開放される「水」
中でも打音の響きは、ハンマーや木槌で硬い木を叩くときのようなイメージがあり、かつて木彫を制作していた私にとっては懐かしい響きです。
〈第三部 交流会〉
琥珀さんによる映像作品が映し出され、参加者の感想をシェアしました。
交流会では、今制作中の「地水火風」の作品の一部「水」も映し出され、その映像は、これまでの単なる記録映像とは全く異なるものでした。
いわば、目に見えない空気が、感じられるような不思議な仕上がりなのです。
物質的な空間では、オイリュトミーと箏は離れています。
しかし、琥珀(近清さん)による映像では、ところどころ重なったり、一体になったり、
オイリュトミーの動きから箏の演奏が見え、
箏の演奏からオイリュトミーが感じられるようでした。
心の中の空間ーアストラル空間を見える化した画像と言えるでしょうか。
映像を見た後に、お一人お一人の感想をシェアしました。
参加者の顔ぶれは実に多様でした。オイリュトミー、シュタイナー関係の方はもちろんのこと、
・二十歳を間近に控えた大学生
・子どもをお風呂に入れて公演に駆けつけてくれたママ
・牧場で牛を飼っている牧人さん(那須ならではですね!)
・グリーフケアの研究者
・ピアノ講師
・調律師
・保育士
・エンジニア・・
プレ公演も含めて、ご参加いただいた皆様、お手伝いやご声援くださった皆様、本当にありがとうございました。
〈ことのはな〉6/9本公演、プレ公演、共にアーカイブ視聴が購入できます。
(第一部・第二部のみ。30日間)
▼リンク先はこちらです。
🌟〈ことのはなプロジェクト〉公演振り返り⑴
天地をつなぐさすらいの
ハヤサスラ
~地水火風の旅~
◉〈ことのはな プロジェクト〉本公演無事終了
二つのプレ公演を経て(仙台4/27、那須4/30)、 6/9、那須・奏身舎にて本公演が開催され、
二十五絃箏とオイリュトミーのコラボに加え、今回、初めて映像作品が加わった。
〈オイリュトミー ×二十五絃箏 × 映像 〉
当事者の私たちすらも、最終的な仕上がりが全く未知のまま(でも不安は不思議となかった)迎えた6/9公演本番は、直前に「地水火風」の書もコラボに加わった!
当日は、奏身舎という響きの空間で、出演者と参加者の魂が響き合い、音、動き、色、映像・・
魔法のような濃密な雰囲気を醸し出していた。
映像とオイリュトミーのコラボは、初めてだったが、第三部のシェア会での反響は予想以上のものだった!
公演から1週間経ち、自分なりに、今回の公演を振り返ってみた。
〈第一部 体験会〉
「天」という言葉も「地」という言葉も「頭では知って」いる。
しかし、本当に実感しているだろうか?
知識としてではなく、心で思えるだろうか?
また、この言葉がどんな概念を指し示しているのかを、確かに掴むのもなかなか難しい。
第一部〈体験会〉が始まった時、ちょうどしっとりと雨が降っていた。
「天地を」を「あめつちを」と言い換えてみる。
すると、雨が土に染み込むような、柔らかさと自然さがある。
「あめ」という語には、「天」「雨」「海」・・の三つがあり、天から降ってきた雨の雫が、川に流れ大海へと合流する・・・
「あめつちを」・・は、そんな「めぐる命の物語」を感じさせてくれる語。
それを母音で体験していただいた。
そして子音で「地水火風」を体験し、水 ,風の両方に流動する特性が、日本語ではどちらも「子音S」で表現されていることに気づく。
そのS音は、根底(ねそこ)の国を彷徨う「さすらいのハヤサスラ」の名前の中にも響いている。
そしてSの形は川の蛇行、風のそよぎ、背骨の形、静けさの音。・・これらの形象として現れているのだ。
さらに、
天と地を結ぶ「道」=TAO を箏の音で体験していただいた。
天の領域にまで広がる清らかな音の響きは、今度は
大地の一部である、自分の内部へ取り込まれて、体の中にまで浸透する。
この「わたし」こそが天と地を「橋渡し」する存在なのだ。
その秘密が、音を通して明らかになり、リアルな体験になってゆく。
◉天地を結ぶ、箏による音体験
箏による音楽オイリュトミーでTAOをインターヴァル体験すると、
くどくど説明しなくても、理屈抜きで、ハートで感じられ、腑に落ちるが素晴らしい。
実は、箏そのものが「天地をつなぐ楽器」と言われているそうだ。
その「天地をつなぐ」箏を使ってのコラボ公演「天地をつなぐ、さすらいのハヤサスラ」・・
このテーマは、我ながらぴったりだったと思う。
そしてその箏は、「伝統」からより自由に羽ばたく可能性を持つ「二十五絃箏」だからこそ、この体験が可能になったのだ。
◉他者との「協奏・共創」
芸術体験による癒しの力
今、地の球である「地球」を旅し、生きている私たち。
今回の〈ことのはなプロジェクト〉①の体験を元に、さらに世の中へ広げる活動へ、未来に向けてしっかり繋げてゆきたい。
〈ことのはな〉6/9本公演、プレ公演、共にアーカイブ視聴が購入できるようになりました。
(第一部・第二部のみ。30日間)
▼リンク先はこちらです。
https://peatix.com/event/4019955/view
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🌟TAOを全身で感じる
◉「あめつちの」雨が土に染み込むよう・・
いよいよ、公演まであと数日となりました。
天と地をつなぐ…と言うと、何だか難しく聞こえますが、「あめつちの」と、言い換えると、とても柔らかく、自然な感じがしますね。
「あめつちの」は、
古事記冒頭や万葉集にも枕詞として多く歌われています。
それを、第一部の体験会では、母音によるオイリュトミーで体験します!
◉陰陽の調和「「TAO=道」
老荘思想で知られる「TAO=道」という言葉は、陰陽の調和を大切にする思想です。
大きいものと小さいもの
陽と陰
明るいものと暗いもの
相反する両極を結ぶ、「TAO=道」の本質も音楽や言葉のオイリュトミーで体験することができます。
🌟仙台プレ公演終了_参加者からのご感想
4月27日は、渋谷が講師を務める、おひさまの丘宮城シュタイナー学園の共催により、プレ公演を開催、連休中にも関わらず、熱意ある方々が参加されました。
チラシ作成や準備など、学園の皆さまには大変お世話になり、心より御礼申し上げます。
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学園の木工教師、藤原茜先生デザインによるプレ公演チラシ
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◉参加者からのご感想
【めぐるいのちの物語】
「オイリュトミー×二十五絃箏×映像という体験会と小公演、交流会に参加しました。
第一部で
十三絃の箏と二十五絃の箏による五音階と七音階の世界観の違い、つまり
穏やかで優しくあたたかな小さな世界から、多彩な広がりと煌めきの大きな世界を体験した後
母音のひとつひとつの音の意味と響きや
子音をあらわす火風水土のエレメントを
身体でまるごと感じるオイリュトミーを体験。
世界の様々なあらわれが、自分と響きあいながら存在し、
と同時にひとつでもあり、参加したみんなとも響きあっていることを理屈抜きで感じる。
「わたし」という広がりと、収束と、循環と永遠。
そんな体験をしたからこそ
第二部のオイリュトミー×二十五絃箏の公演が
「観る」ということを超えて体験になる。
「風」「火」「水」「土」を通して
「自我」が本当の自分を求めて 循環し、変容の物語を体験していく。
二十五絃箏による世界の中で身体が言葉となり歌となる。
呼応しあっているのが美しい。
詩の朗唱やうたの響きが空間を満たし
とても美しく振動している。
そんな公演。
そして三部へ。
公演が終わった後も、その音や動きや響きが
そのまま会場の中に残存していて
それを想起させるため、
内側でそのエネルギーが立ち上がるための
映像というあらたな表現を生む。
その解説があった後、
みんなで自分の体験をシェアしあう。
・・・・・
そんなとても豊かな時間でした。
オイリュトミーは渋谷智栄子さん
二十五絃箏は小澤 千絵子さん
そして映像は近清武さん
この三人による、「本当の自分を生きる」をテーマにした
作品を創作、映像化し、未来に伝えるプロジェクト。
参加者が鑑賞するだけではなく、
「体験し」「感じる」というワークショップがあることで
より深くその世界を自分ごとで感じられると思いました。
そう、そこにあるのはいのちの物語。
ところで、近清さんは
いのちの光をあらわす、内的宇宙と大きな宇宙が呼応する
「COSMOS~光との約束~」を制作された方。
以前Com.Labでインタビューさせていただき、
九州糸島の「いのちのお祝い会」でもお会いしています。
久々にお会い出来てとっても嬉しかった~!!」
及川徳子さんのFB記事より、掲載させて頂きました。
🌟那須プレ公演終了_参加者のご感想
4月末にプレ公演が仙台4/27と那須4/30にて無事終了しました。
◉【演じる者と観るものとの境界線を外す体験】〈那須プレ公演4/30ご感想〉
「和歌や詩で母音を味わい、13絃の音色の中でより深く五音階の世界を感じることができました。
作品の「水」の1部を動いたこと、TAOを何度も動いたことが、
演じる者と観るものとの境界線のようなものを外してくれ、
自分も作品に入り込めたような気持ちでした。
地・水・火・風に境があるわけではなく、一人ひとりが地・水・火・風となって、地球(宇宙!?)を感じる一体感はオイリュトミーならではの体験だなと思います。
「わたし」という響きには、UとA, TとAの 両極が内在していて、Sがそれを結びつけるのか・・と改めて感動しました。(天と地をつなぐ箏の音のようですね!)
ワークショップを通して、何かしらの気づきを持って芸術を観る。
そしてそれを共有したり、他の人の感性に触れたり、新たな世界に出会えた時間でした。
小澤さんが表現しようとしている多彩な音色や行間など、実際に目で見て感じることができたのは、大きな刺激になりました。
「風」「火」「水」の詩はどこからの引用ですか?
渋谷先生がカーテンの奥で歌われたことに、私は陰影を感じ、小澤さんとの対の演出が良かったと思いました。
本公演での映像の発表も楽しみにしております。
(渋谷先生の動きが正面向きよりナーゼナッハや回転のフォルムが多かったのが印象的でした)
田崎和美さんより
(宇都宮オイリュトミークラス「ひばりの会メンバー」、ピアノ講師)