REPORT・BLOG

2025-06-18 22:17:00

音は形成する力(3)神殿伝説より

 

◉「響き」を重視して建てられた中世の教会

 

声や音の響きは、目に見えないが、もたらす影響は大きい。

中世の教会は、司祭の声の響きが、人々の心を振るわせ、共鳴させるような空間となるよう造られたという。
浄らかな響きが空間を充たすと、
アストラル体=感情が浄化されることを昔の人々は知っていたのだ。
教会、寺院の音響が良いのはそのためである。
 
以下、シュタイナーの言葉を講義録より引用。
 
*「神殿伝説と黄金伝説」 高橋巖 訳 より
『霊学の観点から見たフリーメーソンの本質と課題』第三講
「フリーメーソンの中にあったこの霊的直感と再現能力は失われました。
語る言葉が特定の仕方で壁に反響する建物の中で話すのは、特別のことだ、という意識は失われました。
中世において大聖堂を建てたのは、偉大なフリーメーソンたちでした。
彼らは、司祭の話す言葉が正しいしかたで壁に反響して、回収の全てが意味深い振動の海に漂うことが、肉体の耳にとってよりもアストラル体にとって、より大きな意味がある、ということを自覚していました。」
 
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この奏身舎も嬉しいことに「響きの空間」として多くの音楽家からお褒めの言葉を頂いている。
 
宗教音楽の合唱指導をされているM先生は、ザルツブルクの教会でのソリストとして活躍された方だが、この奏身舎は、ヨーロッパの古い教会のような響きがするそうだ。
 
「聖堂の音楽空間は、合唱や音楽演奏を聴かせれば聴かせるほど、ますます良い響きの空間に変わっていくんですよ」と、M先生。
 
今後、この奏身舎での響きがどのように変わっていくか楽しみである。
そして、響きの芸術、オイリュトミーを通して、一人でも多くの方が元気に幸せになってもらえたら嬉しい!
 
 
音には マナス と名付けられるものの名が呼応している。
音を知覚しながら人は、世界の叡智を聞いている。
人間は聞き、語るとき、直接叡智の中で自己を表現する。」
シュタイナー
 
 
◉男子中学生との「笛」の思い出
 
毎月、玉川村の児童養護施設「森の風学園」で、芸術療法(音楽指導やオイリュトミー)をやらせていただいている。
 
こんなエピソードがある。
ある日のこと、
男子中学生S君は、全く音楽には馴染みがなかった。
初めてリコーダーを教えた時も、持ち方すら知らず、
「土下座してでも、いやだ!」と強い口調で拒否。
 
ところが翌日、施設長の先生から「笛、吹いてますよ。」との電話をもらった。
さらに、奏身舎に「これ、やりたいんだ」と、楽譜持参でやってきたのだ!
 
それは卒業式定番の曲「旅立ちの日」だった。
 
彼のリクエストに応えて、オイリュトミーの時間に数小節ずつ練習することにした。
楽譜を読めない彼のために、私が笛を吹いては、彼がメロディーを真似する。
この繰り返しを、ずっと続け・・・
 
そして・・・3月の奏身舎でのオイリュトミー発表会では、
大勢のお客様が見守る中、つっかえながらだが、最後まで彼は演奏できたのだった!
 
思わず熱いものが込み上げて涙が出てしまった・・・・。
人の視線を浴びるのが大の苦手だった彼は、響きの魔法に助けられて、やり抜いたのだと思う。(場面緘黙症と言われていた)
 
彼とのオイリュトミーの時間、
そして発表会でのリコーダー演奏は、今も私にとって大切な思い出となっている。
 
美しい響きは空間を変える。
そして私たちの心をも振るわせ、共鳴させる魔法の力が働いているのだ。
 
 

*・゜゚・*:.。..。.:*・🌟お知らせ🌟・*:.。. .。.:*・゜゚・*

 

奏身舎では

〈ことのはなプロジェクト〉第2弾として

2025年6月29日に 

公演「あめつちをみたす いのちのうた」を開催します

 

あらゆるものに浸透する「音の響き」

オイリュトミーや箏、歌、タムタム、グロッケン、笛

さまざまな響きで体験していただけたらと思います。


今回特別に
親子向けプログラムもご用意しました。

 (限定20組まで)

笛と箏、鈴のアンサンブル、

珍しい二十五絃の箏に触れ、奏でることもできますよ!



問合/申込:
〈奏身舎〉 ✳︎  nasu.sousinsya@gmail.com    
〈ことのはなプロジェクト〉✳︎ info@koto-no-hana.net

〜〜〜〜〜〜〜〜
🌟告知動画を作成しましたので、ぜひご覧下さい。

▼〈ことのはな告知動画〉できました!
https://youtu.be/YbRiWEOA9fM

 

 

 

▼〈ことのはなプロジェクト〉本当の自分を生きるとは?

 

 

▼親子向けプログラム
「響きあう音と命」12時〜

http://koto-no-hana.net/info/6278901


▼本公演「あめつちをみたす いのちのうた」14時〜
http://koto-no-hana.net/info/6278885

2025-06-18 22:11:00

音は形成する力(2)

音の響きが物質に働きかけ、多様な模様を形成することを示す実験がクラドニー図形だった。

しかし、音が働きかけるのは、物質だけではなく、心に対してもそうなのだ。

 

◉児童養護施設での音体験

  ー音の秩序が不安定な心に働きかける

 

ご縁あって、児童養護施設でオイリュトミーを中心とした芸術療法の時間を持たせていただいている。

 

先週末の土曜も、施設でのオイリュトミーの時間があった。

 

こだわりが強いRくんは、思うようにいかないと、いつも癇癪を起こし、

暴力的になったり、

自分の頭を壁に打ち付けたり、叩いたりと自傷行為が多い。

 

でもそんな彼が、美しい音にふれると、途端に変わるのだ!

音楽の美しい秩序が、あるところでは、

暴力的な衝動ではなく、自らの精神が、自分のカラダを支配することができる。

それも高貴な喜びを伴って。

顰めっ面が、自ずと笑顔に、そして気持ちもポジティブになってくる。

美しい音を聴く。

それだけでもとても良い働きかけになるのだが、

美しい音を自らの手で、奏でる、吹く、叩くという音楽体験は

「主体的」な行為となる。

 

さらに

美しい音をオイリュトミーで実際に動くことで

手足、カラダ アタマ のすべてが、音の響きに満たされた「楽器」となる。

 

その楽器は自分自身だ。世界にたったひとつの。

 

音の法則や秩序、ハーモニー、

目には見えない音が

不安定なこころとあたまに、調和をもたらし、

新しくカタチづくるのだ。

 

自分自身の意志が、音を世界に刻印づけ、世界を変えてゆく。

そして世界が彼に、さらに豊かな世界を与えてくれる。

 

「音は形成する力」

と シュタイナーは語る。

正確に言うと

音の響きの中の見えない「イノチ」が、調和したカタチをつくるのだ。

 

 

 

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 大きな木琴

 

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 グロッケンとライヤー

 

*・゜゚・*:.。..。.:*・🌟お知らせ🌟・*:.。. .。.:*・゜゚・*

 

 

奏身舎では

〈ことのはなプロジェクト〉第2弾として

6月29日に 公演「あめつちをみたす いのちのうた」を開催します。

あらゆるものに浸透する「音の響き」を

オイリュトミーや箏、歌、タムタム、グロッケン、笛

さまざまな響きで体験していただけたらと思います。


今回特別に
親子向けプログラムもご用意しました。

 (限定20組まで)

笛と箏、鈴のアンサンブル、

珍しい二十五絃の箏に触れ、奏でることもできますよ!


問合/申込:
〈奏身舎〉 ✳︎  nasu.sousinsya@gmail.com    
〈ことのはなプロジェクト〉✳︎ info@koto-no-hana.net

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▼〈ことのはな告知動画〉できました!
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▼親子向けプログラム
「響きあう音と命」12時〜

http://koto-no-hana.net/info/6278901



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2025-06-18 22:05:00

音は形成する力(1)響きとクラドニー図形

◉音の波とクラドニー図形

 

こちらの写真は、2023年度、吉澤明子さんとのコラボ講座【創造の秘密】で

音エーテルの働きを、実験した時のもの。

音の振動によって、

小さな粒子の模様が変わってゆくのを、目で確かめることができるのだ。

その図形が「クラドニー図形」だ。

 

 

音の響きが物質に働きかけ、秩序ある美しい模様を形成することを示す実験。

「クラドニー図形」

しかし、音の響きが働きかけるのは、目にみえる物質にだけではない。

見えない心に対しても、音は形作る働きを持つ

 

 

◉音の形成する力は

  心にも影響を及ぼす

 

楽器好きな私は、オイリュトミーの授業やイベントなどで、

いろんな楽器を使って、演奏したり、子どもたちに教えたりしている。

材質やフォルムによって、音の響きも微妙に異なってくる。

こちらはさまざまな材質の「笛」。

 

 木の笛ー竹や梨の木でできた笛

 土の笛ーオカリナや鳩笛

 

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笛は、息を吹き込むことで、音が出る楽器だ。

自分の息が、音になり、内なる世界から外なる世界へと、広がってゆく・・。

言葉にすると、あまりにも当たり前のように感じるが、

実は、この体験は、子どもにとってすごいことなのだ!

 

笛を吹けるようになってから、驚くほど大きな変化を見せた子がいる。

 

ある自閉スペクトラム症の子は、それまで「吹く」ことが全然できなかった。

 

だが、奏身舎でのイベントに親子で参加し、

ミニコンサートで、私たちが笛を吹くのを目で見て、耳で聴いて、

(きっと楽しくて自分でもやってみたくなったのだろう)

その翌日に、玄関ホールに飾ってあった鳩笛を、わざわざ私の前に持ってきて

  HO-HO HO-HO と

息を吹き込み、音を出したのだった!

 

その直後、その子は、私と目線が合うようになり、

歌いながら、ボールを投げ合ったりすることもできるようになった。

(以前は、受け取ることはできても、自分から投げることができなかったのだ)

 

きっと目に見えない心も、音によって

クラドニー図形のように美しく形作られるのだと思う。

 

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Aちゃんが初めて吹いた「鳩笛」

手で触ると、丸みがありあたたかな感触。

この鳩笛体験がきっかけになって、

新しい感覚世界が開けたのだ。

 

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🌟お知らせ

 

〈ことのはなプロジェクト〉第2弾

公演「あめつちをみたす いのちのうた」を開催!

会場:奏身舎

日時:6月29日

 

箏・オイリュトミー・映像のコラボ作品としての

『さすらいのハヤサスラ』に加え、

 

音と声の響きのワークショップも開催いたします。

(今回、響きの楽器、タムタムも用い、即興演奏&歌にもチャレンジ!)

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

🌟告知動画を作成しましたのでぜひ、ご覧下さい。

 

▼〈ことのはな告知動画〉

https://youtu.be/YbRiWEOA9fM

 

 

▼親子向けプログラム

「響きあう音と命」12時〜

http://koto-no-hana.net/info/6278901

 

http://sousinsya.com/info/6266837

 

FBイベント欄

https://fb.me/e/3inNXdhcT

 

 

 

▼本公演「あめつちをみたす いのちのうた」14時〜

http://koto-no-hana.net/info/6278885

 

http://sousinsya.com/info/6266829

 

FBイベント欄

https://fb.me/e/5EMOXbC6H

2025-06-08 21:16:00

「根源のコトバ」とは? 人生を確かに導くその力を多くに人に伝えたい。

●人類は遠い昔、歌うように語っていた

歌と言葉、体の(特に手の)動きとの関連は、人間の意識の発達、進化の秘密とも深い関わりがあります。
シュタイナーは、「人類は遠い昔、歌うように語っていた」 「太古と今では記憶の仕方が違う」と言いますが、
ハンディを持つ子ども、成人たちは、まさにそうでした。

東田直樹さんの著書「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」でも語っていらっしゃるように、
障害を持つ子供たちは、 「太古の昔からタイムスリップして来たような」ところがあり、
シュタイナーの本で学んだ知識を、私は、オイリュトミーを通して実際に体験し、検証していったのでした。

その後、障害を持たない、幼児クラスや子どもクラス、大人のクラスを持つようになってからも、
この時の体験は、私の授業方法の大きなベースとなったのです。 それは、言葉というものの本質に触れる体験でした。

頭で考える知的な概念言語の前に、音声言語があり、 口から放たれる音声言語の前に、動作言語の豊かな世界があること。
また、民族言語である、母語の重要さ。 アイデンティティーの土台となる母語は、私たちが住まう風土とも結びついています。

日本語は「母音が優勢」なので、歌の中に生きる母音を通して、 無意識のうちに知恵が浸透していくようでした。
動作言語と、思考の言葉である概念言語の間には、大きな隔たりー壁がありますが、「聖なるものへの感情」を通して、
この両者がつながると、いろんなことが可能になることもわかりました。

・・・・・・・・・・・

●聖なるものとの出会いが、人を内側から癒す

この「聖なるもの」は、かつて木彫制作していた頃からずっと、私を導いてくれたテーマでした。
扱う素材が「木彫」から「人間」「オイリュトミー」に変わっても、テーマは変わらなかったんですね。

どんなに障害が重く見えても、口先では、反感に満ちたひどい言葉を吐いたとしても、
心の底にある「聖なるものへの憧れ」に触れることさえできたなら、心の奥の扉が開くのです。

自我による治癒は、聖なるものと結びついており、それは言葉や音楽の「響きの中に」生きています。
言葉の中の聖なる霊的存在、それをシュタイナーは「霊我」と呼びました。

それは、人間の一番神聖な部分の中に、未来への萌芽として存在しています。
色、音に触れる美しい芸術体験ー特に総合芸術としてのオイリュトミーにはー聖なるものに触れる力があると確信しています。
それは、根源のコトバと出会うこと。

ヘレン・ケラーが「Water」の言葉体験を通して、 言葉の本質を直感し、その後の人生が大きく変わったように、
「根源のコトバ」体験は、私たちの人生や、世界観をより豊かに、確かに導くものです。

その力を、これからも多くの方に伝えていけたらと思うのです。
オイリュトミーの活動を通して。
また、小さな、ささやかな手遊びを通して。
公演活動を通して。

・・・・・・・

●うたの語源〜「うつ」「うったえる」互いに「うち合う」

6/29の公演「あめつちをみたすいのちのうた」では、天地をつなぐ人間の聖なるものを、
根の国底の国に棲まう「さすらいのハヤサスラ」として、 また日本語独特の「母音」の深い豊かな世界を、
箏、タムタムの響きと共に、歌を通して表現します。

「うつ」「うったえる」「うち合う」それが「うた」の語源だとか。
私たちの魂はまさにそのような体験を求め、だからこそ、人と出会い、 心と心で「うち合う」ことに、人間らしい喜びを感じるのでしょう。

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🌟6/29の公演とWS は、まさに心と心で「うち合う」ものをテーマにしています。

▼あめつちをみたす いのちのうた〜14時から
https://fb.me/e/5EMOXbC6H

親子向けプログラム
▼響きあう音といのち 〜12時から
https://fb.me/e/3inNXdhcT

告知動画
https://youtu.be/YbRiWEOA9fM

 

 


2025_0606. 記:萌黄 moegi ▼ FB記事より転載 https://www.facebook.com/chieko.sibutani.1/posts/pfbid02T5v7h9F9PHSm8TVPGKwAKPqGwwgQ4oyGUst2hiCwjhrnY4jtc7mXE5ZqNswsaKB6l

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