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仕事は "サイエンスをハートフルにして届ける" こと

 

 幼少より好きな絵画に加えて科学にとても興味があり、小学校の卒業文集に「なぜ、なに、思うは科学の進歩」と書いたほどであったが、頭で理解するだけでなく、心で響くかどうかにも興味がある。”科学と人間の接点”を見出したい。いつの頃からか、その接点を創出すれば人類は幸福になれるはずだという思いがあった。

 

 中学卒業後にエンジニアを志して高専から大学院まで学び、卒業後光学機器メーカーの開発エンジニアを5年程経験した後、自分が本当に輝ける場所はここではないと気づき転職。同様に子どもの頃から好きであった絵と科学を結びつける仕事として、プラネタリウム向けの機器と映像を制作する会社に転職。その後、プラネタリウム以外の分野でも科学を映像で伝える事を深めるため日本科学未来館に転職。映像メディアプロデューサーとして、言葉では伝えることが難しい科学の叡智を映像によって伝える(科学分野における教育やコミュニケーションを促進する)手法開発に取り組む。

 

 子どもの頃からテーマでもあった「科学の叡智を、どうやったらわかりやすくできるのか、どうすればその叡智を広く活用できるのか」について、考えを深めてきた独自の感性が評価され、2010年 日本科学未来館で制作した「ちきゅうをみつめて」では日本科学未来館の毛利衛館長より毛利衛賞を受賞。




科学の叡智を、言葉を超えた映像体験を用いてよりリアルに

 

 科学をわかりやすく伝えるだけでなく、その科学を使ってどう生きるかという問いや、人類が進むべき指針について考える機会を創出している点において、漫画家の手塚治虫、藤子不二雄両先生、また科学絵本作家のかこさとし先生にとてもリスペクトがある。科学を伝える手法として、彼らの偉業にならいつつ、自身の場合は高精細や大画面等の先端の映像技術を用いた高臨場感映像メディアによる視覚体験を活かすことで、(言葉では難しいテーマでも)よりリアリティをもって科学の学びを促進する手法を開発する仕事についている。(高臨場感映像による科学コミュニケーションの促進が研究テーマ:科学教育における独自の手法としては、科学の難しい内容を専門用語を使わず、言葉では伝わりにくい概念を、映像体験を通して臨場感を伴う体験として伝えること。)

 

 2011年、以上を指針として科学コミュニケーションをデザインする映像制作会社「株式会社マイクロミュージアムラボラトリー」を立ち上げ、ドラえもん「宇宙ふしぎ大探検」プラネタリウム三部作を企画開発。ドラえもんの世界観とひみつ道具によって科学への興味関心と地球環境問題や日本の科学技術による宇宙への挑戦”はやぶさプロジェクト”などの難解な科学的なテーマを子どもから大人までわかりやすく伝えることができ、300万人に見てもらうことができた。(HP: micromuseum-lab.net)




高臨場感映像を使って、その魅力を伝えることに成功した事例

 

 科学教育向けの映像作品以外の実績としては、建築業界初のVR展示の企画開発がある。建築は大人になってから熱中した分野の一つで、その魅力は「”空間体験”にある」とは多くの著名な建築家も語っている通りであるが、2011年当時、建築の展示は写真、絵、設計図などの二次元イメージ、小さな模型等で構成され、建築空間を擬似体験できる展示はなく、それらの展示から実際の空間を想像するしかなかった。実際に本物の建築を体験すると、展示会場での展示はあまりにも実際の建築の魅力を伝えられていない事に気づき、建築の持つ本当の魅力である”空間体験”という情報をどう伝えるか、その手法を生み出すことに関心を持った。当時まだVRという言葉も浸透していない中、高臨場感な立体映像体験を用いればその課題を解決するという見込みをたて、技術調査を行い、開発途上であった360度立体動画撮影の機材やゴーグル等を入手して業界初のVR展示を、世界的に著名な建築家である伊東豊雄氏に提案し、2014年 伊東豊雄氏設計の台中オペラハウス展(TOTOギャラリー間)にて実現。それにより建築業界トップの方々の賞賛を得られた事は、世の中でまだ理解されない手法であっても、情熱を持って挑戦し実現することの意義を学ぶ機会になった。



シュタイナー学校との出会い

 

 2016年 自宅近くにて”東京賢治シュタイナー学校”の存在を知り、その生徒らの表情や眼差しに感銘を受け、翌年シュタイナー教員研修を受講。シュタイナー教育に共感した点は、シュタイナーの言葉「人智学は、知識を授けるものではなく、生命を目覚めさせようとするものである。」にあるように、全ての学びを暗記や言葉の理解だけに留まらず本当の叡智として、その人の中に活動源として生きるようにしていく方法論を提唱しているところである。その思想に則り、自身がメディアデザインの体験を通して経験してきた学びを生かしたオリジナルのカリキュラムにより、2018年よりシュタイナー学園で高等部「情報と社会」の授業を担当している。



自主制作短編アニメーション「COSMOS〜光との約束」の制作(HP: cosmos-hikari.com)

 

現在、2021年に自主制作した短編アニメーション作品「COSMOS〜光との約束」の配給、上映会、監督講演を科学館プラネタリウム、文化センター、会議室、個人サロン、小中学校(体育館)等で開催している。この作品は、私自身の体験(闇が光に変わる体験)を通して得た気づきを元に自主制作したもので、小中高で人気の合唱曲COSMOSの世界観や「君も星だよ」という歌詞の意味を科学と心の視点でみつめることで、宇宙との繋がりを取り戻し”自らの光に気づく物語”である。